MA Partners案件.
某ゼネコンより競馬場のスタンド建て替えコンペティションに応募したいので力を貸して欲しいという依頼があり提案の協力を行なった.
隣接する大型商業施設からの流入を見込み、まちに「ひらかれた競馬場」をコンセプトとし、ゲートをつくらず大型ショッピングモールに対するANEXとしての商業空間や次世代のPARKとしてまち全体の集客施設となるよう計画している。
競馬スタンドの構成として、上階にいくにつれセットバックすることにより室内スタンドやVIPスタンドと馬の距離がだんだんと離れていってしまうスタンドが多く見受けられるが、本提案では上階にいくにつれスタンドをせりだしていくことで競争馬との距離を近づけ臨場感のあるスタンドを形成している.またスタンドの裏面は建物のファサードとして扱われることが多く、壁が立ち上がった圧迫感のあるものになりがちであるが、本提案ではセットバックしていく構成となるので広場と一体化した山のような景観が生まれ “使われるファサード” となっている.
さらに、現状このスタンドは競馬場として利用される期間が年間で50日程度しかなく、それ以外の300日程は全くの未利用状態となってしまっている.そこでパドックを室内化(半屋内化)させることにより競馬利用以外でもコンサートなど多目的に利用できる場をつくり、スタンドが競馬利用だけでなく多様性のある建築・場所となることで、まちにおける公共性を獲得し、結果的に収益に結びついていく仕組みとなる.
建物としては二部構成となっており、旧スタンドを半分解体しつつ半分利用しながら、新館が建った後旧館を解体、新館の残りを建て増す計画としており、屋内パドックは建て増し部分に計画を行なった.
永らく競馬場に付き纏ってきた閉鎖的なイメージを、まちにひらいていくことで馬と競馬に興味をもってもらい、競馬のイメージを健全でより良いものにリブランディングしていく.残念ながら結果としてそのチャンスを掴み取るとることはできなかったものの、これからの競馬場の在り方を考える良い機会であった.