大井町駅前にある細長い通りを公園化し、パブリックトイレを計画するコンペであった。

ひとはトイレがなければそこに長時間居続けることが不可能なほど生活の中に必要不可欠な存在であり、一度家の外に出ればトイレは都市機能の合流地点に存在する“へそ”のような場所となっている。同時にトイレは目的と目的のあいだの時間を利用することが多く、交通機関の乗り換えのタイミングや映画と食事の間の時間、ショッピングにおけるお店の行き来の間の利用など、一日の行動においてトイレは目的間の結節点における場所や時間に寄り添ったものとなっている。さまざまな場所や時間利用からそこを通り過ぎる方に向けたHUBとしての公衆トイレ・公園を提案した。

 

商業施設におけるトイレの発展により、公共事業においてもトイレの重要性が意識されはじめ、今日における我々日本人のトイレ意識は世界的にみても非常に高いといえる。しかし同時に商業的な側面からの影響が過多になっていることから、清潔感や高級感だけが先行し、トイレ空間そのものの問題は未だ解決できないままである。同じ公共空間のトイレであっても、商業トイレやその他の公共建築のトイレは建築本体によってトイレまでのバッファー(グラデーション)がとれているのに対し、公衆トイレではトイレそのものが直接屋外のパブリックスペースに面しており、壁一枚を隔てて非常に薄い境界によってのみそれぞれの空間が担保されている状況となっている。

 

そこで、本計画では公衆トイレにおける屋内外の境界に厚みを与え、パブリックスペースの環境下の中で湿り気のない気持ちの良いプライベート性を確保できるかを検討した。家型の屋根を反転し外側にひらくことで、これまで内側に閉じてきた空間を外へとひらき、外部空間は屋根に包まれた軒下空間となる。庭(外部)のような屋内空間が生まれ、部屋のような外部空間が生まれることで、急なスケールダウンや薄い境界によって引き起こされてきた公衆トイレの湿り気が改善されることを期待している。

勾配のついた屋根という形態は都市の水の流れ(ひとの流れ)を加速させるが、今日の早すぎるスピードに対して溜めるプロポーションとすることでもう少しだけゆっくりと水も人も流れることができないかという意図もある。

敷地内にはたくさんの座れる場所を用意しており、女性トイレ棟と男性用トイレ棟はあえて距離を離し、中心にBOOKカフェスタンド棟を配置した。男性と女性ではトイレの利用時間も異なるため、片方が待っている時間の過ごし方として中心に別機能があることが配棟のポイントとなっている。また、Book+CafeStand棟は上部2Fへ上がれるようになっており、地上と切り離すことでゆったりとした時間を過ごす場所を確保した。全ての棟について建物を敷地の端に寄せずに隙間を空けて回遊性を確保し、4面それぞれがファサードの機能を有することでJR京浜東北線のホームや電車内からも正面性のある佇まいとしている。